遺言書の作成・検認
遺言書を作成することで、遺産分割トラブルを防ぐことが可能です。ここでは遺言書の作成方法について見ていきましょう。
「遺言」とは、被相続人(故人)の生前における意思を表明したものであり、遺言を書面化したものを「遺言書」といいます。
遺言書に何を記載するかは作成者(遺言者)の自由ですが、一定の内容については法的効力が生じます。これを「遺言事項」といいます。遺言事項には以下のものがあります。
(1)相続に関すること
・法定相続分と異なる相続分の指定
・誰に何を渡すかなど、遺産分割方法の指定
・相続人の廃除とその取り消し
・特別受益の持戻しの免除
・遺留分侵害額請求の方法指定
(2)財産の処分に関すること
・相続人以外の者へ財産を譲る指示(遺贈)
・特定の団体などへの寄付の意思表明
(3)身分に関すること
・婚姻関係にない者との間に生まれた子ども(非嫡出子)の認知
・未成年者の後見人や後見監督人の指定
(4)その他
・祭祀承継者の指定
・遺言執行者の指定
遺言書の作成方法としては、いくつかありますが、一般的に用いられるのは、自筆証書遺言と公正秘密証書遺言のどちらかです。
■自筆証書遺言
遺言書の全文・日付・氏名を自筆で作成し、押印した遺言書です。財産目録についてはパソコン等による作成や、不動産登記事項証明書等を添付する方法でも可能ですが、財産目録以外はすべて自分で書かないと、その遺言書は無効となります。自筆証書遺言の形式にはさまざまなルールが設けられており、一つでも形式不備があると無効になるリスクがあります。
費用をかけずに手軽に作成でき、法務局保管制度(令和2年7月10日開始)を利用すれば、紛失や偽造等を防止することができるなどのメリットがあります。しかし、上記のような形式不備による無効のリスクがあるほか、遺言の内容によっては相続トラブルの原因となりかねません。自筆証書遺言で作成する場合は、弁護士等の法律専門家にアドバイスを受けるようにしましょう。
自筆証書遺言で作成した場合、相続人は遺言書の発見後すぐに、家庭裁判所で記載内容を確認する「検認」をしなければなりません。検認の証明が発行されるまでに1、2か月かかるため、相続開始後すぐに財産を引き継ぐことができない点に注意しましょう。
検認をしないことにより遺言書が無効になるわけではありませんが、検認せずに開封すると、5万円以下の過料による罰則があります。なお、前述の法務局保管制度を利用すると検認は不要です。
■公正証書遺言
公証役場で、公証人に遺言の趣旨を述べ、それに基づいて公証人が作成する遺言書です。
費用が掛かる点や、作成に2名以上の証人が必要になる点などでデメリットがありますが、公証人という法律のプロと作成するので、自筆証書遺言のような形式不備による無効のリスクはほとんどありません。また公正証書遺言の場合、検認は不要であるため、相続開始後すぐに財産を引き継ぐことができます。遺言書を作成するなら、公正証書遺言の方法で作成することをおすすめします。トラブルを生じさせない内容の遺言書を作成したいのであれば、作成前に弁護士に助言を受けると、なおよいでしょう。なお、公正証書遺言は、どこの公証役場でも作成することができます。
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弁護士 | 小野 航平(おの こうへい) |
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所属団体 |
神奈川県弁護士会 神奈川医療問題弁護団 |
経歴 |
苫小牧工業高等専門学校電気・電子工学科 豊橋技術科学大学電気電子工学課程 豊橋技術科学大学大学院電気電子工学専攻 神奈川大学 法科大学院 司法修習(62期) 横浜市内の法律事務所に勤務後,2012年小野航平法律事務所設立 2014年3月 法律事務所横濱アカデミア設立 |
活動歴 | 神奈川大学法科大学院アカデミックアドバイザー |
事務所概要
事務所名 | 法律事務所横濱アカデミア |
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