法人破産で問題となる偏頗弁済のリスクとは
法人破産を検討する局面では、資金繰りの悪化から特定の取引先や役員へ優先的に返済したくなる場面もあるでしょう。
しかし、こうした偏頗弁済は破産手続きにおいて重大な問題を引き起こすおそれがあります。
本記事では、法人破産で問題となる偏頗弁済のリスクを紹介します。
偏頗弁済とは何か
破産法は、支払不能に陥った債務者が特定の債権者だけを有利に扱う行為を偏頗行為と呼び、否認の対象としています。
偏頗行為には、特定の債権者への返済である弁済と、特定の債権者のために担保を差し出す担保供与の2種類があります。
本記事では、この両者を併せて偏頗弁済と呼び、破産手続きで問題となる理由や具体的なリスクを取り上げます。
債権者平等の原則との関係
破産手続きは、すべての債権者を公平に扱う債権者平等の原則を土台としています。
限られた財産を債権額に応じて分け合う仕組みであるため、一部の債権者だけが先に回収してしまえば、この土台が崩れることになります。
偏頗弁済が破産法上で問題視されるのは、まさにこの公平性を損なう点にあります。
偏頗弁済にあたる典型的な行為
偏頗弁済は、経営者に他の債権者を害する意図がなくても成立します。
実際に問題となりやすいのは、世話になった取引先や金融機関への返済、役員や親族からの借入金の返済、特定の債権者への担保提供などを他の債権者よりも優先するケースです。
支払不能または支払停止に至った後にこれらを行えば、原則として否認の対象となります。
偏頗弁済がもたらす法的リスク
偏頗弁済を行うと、否認権の行使により手続きが遅延したり、刑事罰を受けたりするリスクが生じます。
弁済を受けた債権者にも返還義務が及ぶため、取引関係への影響も避けられません。
否認権の行使による弁済の取戻し
偏頗弁済は、破産管財人による否認権の対象となります。
破産管財人が否認権を行使すると、弁済された財産は破産財団に戻され、債権者全体への配当原資となります。
弁済を受けた債権者は、受領済みの金銭を使っていた場合でも、額面全額を破産管財人へ返還しなければなりません。
破産犯罪に問われる可能性
悪質な偏頗弁済は、刑事責任に発展するおそれもあります。
債務者の義務に属せず又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものについて他の債権者を害する目的で担保提供や弁済を行った場合、偏頗弁済を実行した代表取締役や他の役員などの業務執行者が破産法上の特定の債権者に対する担保の供与等の罪に問われ、5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。
善意の行為が思わぬ重い処分につながりかねないため、自己判断での弁済は控えることが重要です。
まとめ
偏頗弁済は、否認権の行使による弁済の取戻しや破産犯罪のリスクを伴い、法人破産の手続きを複雑にする要因となります。
資金繰りが悪化した段階で特定の債権者への返済を検討する際は、早期に弁護士へ相談し、適切な対応を見極めることが重要です。
法人破産や偏頗弁済への対応でお困りの方は、法律事務所横濱アカデミアまでお気軽にご相談ください。
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| 弁護士 | 小野 航平(おの こうへい) |
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| 所属団体 |
神奈川県弁護士会 神奈川医療問題弁護団 |
| 経歴 |
苫小牧工業高等専門学校電気・電子工学科 豊橋技術科学大学電気電子工学課程 豊橋技術科学大学大学院電気電子工学専攻 神奈川大学 法科大学院 司法修習(62期) 横浜市内の法律事務所に勤務後,2012年小野航平法律事務所設立 2014年3月 法律事務所横濱アカデミア設立 |
| 活動歴 | 神奈川大学法科大学院アカデミックアドバイザー |
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