会社(法人)破産にかかる費用|支払えない場合の対処法とは
会社(法人)を破産する場合には、どれくらいの費用がかかるのかというご質問をいただきます。
本ページでは、法人破産の費用やそれらが払えない場合にどのように対処すれば良いかについて解説をしていきます。
◆法人破産の流れ
まずは、法人破産の流れについて簡単にチェックをしておきましょう。
以下のとおりとなっています。
①破産手続開始申立ての準備
②破産手続開始の申立て
③破産手続開始要件の審査
④破産手続開始決定・破産管財人の選任
⑤破産管財人への引き継ぎ
⑥破産管財人による管財業務の遂行
⑦債権者集会
⑧手続の終了
基本的には、個人が自己破産をするときと同じ動きとなっています。
破産管財人とは、破産する個人や法人の所有する財産の管理・処分を行う者であり、破産事件の起きた裁判所の管轄する地域に属する弁護士が選任されることがほとんどとなっています。
また、上記では示しませんでしたが、破産を行う場合には申し立て前に弁護士に依頼をすることが一般的です。弁護士に依頼せずに申立をすることもできますが、特に法人の場合は、複雑な法律問題が生じる場合もあり、専門知識を有している弁護士に依頼せずに適切な申立を行うことは困難です。
◆法人破産にかかる費用
では、本題の法人破産にかかる費用について解説をしていきます。
破産の費用の主な内訳は、依頼した弁護士に支払う費用と、予納金、その他の雑費などがあげられます。
①予納金
予納金とは、破産手続を進行させるための費用のことであり、主に破産管財人の報酬に充てられるものとなります。
予納金は法人・会社の負債総額に応じて一定の基準が定められています。
具体的には東京地方裁判所が出している、通常管財事件の予納金相場を参考にしてみると良いと思います。
予納金の額が小さい負債総額5000万円未満であっても70万円が予納金の相場となっています。
ただし、弁護士を代理人として申し立てを行うなど、一定の要件を満たす法人破産については、「少額管財事件」として取り扱われるため、予納金額は20万円で済むことが多いのです。
少額管財が可能かどうかは、破産相談をする際に弁護士に確認されることを推奨いたします。
②弁護士費用
弁護士費用の金額は、負債総額や債権者の数に応じて決定します。
一般的には40万円程度が下限となっています。
もっとも、前述の通り少額管財を利用することができる場合には、与納金を抑えることが可能となるため、弁護士に依頼した方が最終的には金額を抑えることができます。
③その他の費用
上記の費用以外には裁判所に収める費用として、手数料(収入印紙)、郵券、官報広告費などがあります。
これらの費用は2万円程度となっています。
◆法人破産の費用が払えない場合の対処法
法人が破産する場合には、すでに経済的に厳しい状況に陥っているという場合がほとんどです。
理想としては、破産に必要な資金は十分に確保した状態で弁護士に依頼するべきですが、現実には、そのような余裕がないという場合も多いです。
そんな場合の対処法について詳しく解説をしていきます。
まず、弁護士費用についてですが、法人がどのような規模であるかによっても対応が変わってきます。
例えばある程度規模が大きく、まだ業務を行っているような法人に関しては、弁護士事務所も分割に応じることは少なく、逆に実質的に個人と変わらないような法人であったり、すでに業務を停止しているような場合には、分割に応じてくれる弁護士事務所も多いと考えられます。
もっとも、分割支払いに対応していない事務所もあるため、依頼をする際にしっかりと確認をしておくことをおすすめします。
次に、予納金については、すでに業務を停止しているなど早期に破産申立をする必要がない場合には、毎月積み立てをしていただき、予納金が溜まった段階で申し立てるという対応が可能です。
もっとも、いまだ業務を行っているなど、早期に破産申立をする必要がある場合には、そのようなわけにはいきません。多くの場合は、取引先からの毎月の入金日が概ね決まっているはずですので、その日に合わせて申立の準備をし、入金された金額を維持して申立を行うという方法で対応します。
取引先からの入金だけでは予納金が不足する場合は、不動産や機械工具類等の資産を売却するなどしてねん出することになりますが、適正価格で売却しないと後に問題になる場合がありますので、売却価格の決定は慎重に行う必要があります。
なお、法人の代表者も法人と同時に破産を申し立てる場合は、法人、代表者個人のいずれかに引継ぎ予納金分の現金があればよいので、法人としては準備できないが個人としては準備できる、逆に個人としては準備できないが法人としては準備できるという場合は問題ありません。
法人の破産に関しては、ある程度破産の費用を把握した上で、資産状況が危うくなる前に弁護士に相談をすることをおすすめしています。また、支払いができない場合であっても、上で解説したとおり、様々な対処方法がありすので、破産が視野にある場合には、まずご相談にお越しください。
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弁護士 | 小野 航平(おの こうへい) |
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所属団体 |
神奈川県弁護士会 神奈川医療問題弁護団 |
経歴 |
苫小牧工業高等専門学校電気・電子工学科 豊橋技術科学大学電気電子工学課程 豊橋技術科学大学大学院電気電子工学専攻 神奈川大学 法科大学院 司法修習(62期) 横浜市内の法律事務所に勤務後,2012年小野航平法律事務所設立 2014年3月 法律事務所横濱アカデミア設立 |
活動歴 | 神奈川大学法科大学院アカデミックアドバイザー |
事務所概要
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