不動産相続

相続財産の中に、土地や建物などの不動産が含まれている場合、次の2点に注意しましょう。

・相続トラブルの原因となりやすい
・相続登記が必要になる

■相続トラブルの原因となりやすい
「相続トラブル」と聞くと、財産の多い資産家の家庭で起こると思われがちですが、不動産の数が少ない一般家庭の方が件数としては多いと言われています。家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件のうち、遺産総額が5,000万円以下である事件が全体の4分の3以上となっています（裁判所ホームページ｜司法統計年報家事事件編（令和元年度）参照）。

不動産は金銭等と比較して分割しにくい財産であり、複数の相続人がいて、主な財産が自宅だけ（あるいは自宅と土地だけ）というケースでは特にもめやすくなります。不動産を売却して金銭に換えてから分割する（「換価分割」という）、特定の相続人が不動産を相続して自己の相続分を超える部分について他の相続人に金銭（代償金）を支払う（「代償分割」という）など、遺産の分割方法を工夫する必要があります。

■相続登記が必要になる
相続に伴って行う不動産登記の変更を「相続登記」といいます。不動産を相続した相続人は、被相続人から自己へ所有権移転登記手続をしなければなりません。

相続登記をしないデメリットは、まず登記を変更せずにいると、不動産の所有権をめぐって大きなトラブルに巻き込まれるリスクがあります。不動産の登記を行っていないと、たとえ相続により不動産の所有権を取得したとしても、自己の法定相続分を超える部分については、第三者に「自分のもの」と主張できません（民法899条の2参照）。第三者が何らかの形で被相続人の不動産を手に入れ、相続人よりも先に登記を行うと、相続人は不動産の所有権を（一部）失うことになります。

また、不動産の売却や抵当権の設定などを行う際にも、相続登記をしていないと手続を進めることができません。

さらに、2021年（令和3年）の民法・不動産登記法等の一部改正により、所有者不明土地の対策の一環として、相続登記が義務化されることになります（施行期日は、原則として公布（令和3年4月28日）後、3年以内の政令で定める日）。相続により不動産の所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記しなければなりません（改正不動産登記法76条の2）。正当な理由のない申請漏れは、10万円以下の過料の罰則の対象となります（同法164条1項）。

相続登記を怠ることで上記のような不利益を被ります。不動産を相続する際は、必ず相続登記を行いましょう。

このほか、不動産の数が多数の場合は相続税の申告・納付が必要になることがあります。当職は、司法書士や税理士と連携し、相続登記や相続税の申告などの相続手続にも対応しております。お困りの際は、お気軽にご相談ください。

弁護士 小野 航平（法律事務所横濱アカデミア所属）は、横浜市（青葉区、緑区、都筑区、港北区、鶴見区、瀬谷区、旭区、保土ヶ谷区、神奈川区、西区、中区、泉区、戸塚区、港南区、南区、磯子区、栄区、金沢区）を中心に、神奈川県全域における相続に関するご相談を承ります。
当職は依頼者様との対話を重視し、関係者の価値観や考え方も交えながら、最適な解決策をご提案いたします。また、司法書士や税理士とも連携しており、相続登記や相続税の申告・納付を含め、相続に関するさまざまな手続をトータルサポートします。
相続でお悩みの方は、当職までご相談ください。